ここ最近、ビジネスやマーケティングにおいてイマーシブが注目を浴びています。特にテクノロジーやエンターテイメントの分野で人気があります。
そして、ユーザーの体験に関わってくるWebサイト制作においても、イマーシブは重要視すべきです。
この記事ではイマーシブについての解説や僕個人としての考えを発信していきます。ぜひ読んでみてください!
イマーシブ(没入感)とは?
イマーシブとは、「没入感」や「現実で起きているかのような感覚」を意味します。つまり、ユーザーがコンテンツの世界に引き込まれる体験であったり、ユーザーをコンテンツの世界に引き込む技術を指します。
技術の発達とともにイマーシブは深まってきており、ARやVR、メターバス、イマーシブシアターなど、よりユーザーを世界に引き込むコンテンツが誕生してきています。
「体験してみたい!」という方も、アート展やエンターテイメント施設でもイマーシブを提供する所が増えていきているため、気軽に体験しに行くことができるのではないでしょうか。
Webサイトにおけるイマーシブとは
Webサイトにおけるイマーシブは、ユーザーがそのサイトに深く引き込まれるような体験と言えます。
情報を発信するという役割の強かったWebサイトですが、感覚的にも感情的にも、ユーザーを引き込む役割もこれからは大切になります。
Webデザイナーとしては、情報の見やすさだけでなく、どうやったらユーザーがWebサイトに引き込まれる体験ができるかを考えていく必要があります。
そのためにも、デザイントレンドや利用できるWeb開発技術の最新情報を追うことは欠かせません。
なぜイマーシブが注目されるのか
イマーシブが注目されている理由として、ユーザーエクスペリエンスへの期待と、デジタル技術の発達が挙げられます。
モノが溢れているこの時代、ユーザーは単なる商品やサービスを超えて「体験」を求めています。イマーシブはユーザーエクスペリエンスを向上させるために、とても重要な要素の一つです。
また、デジタル技術の発達で、AR・VRに加えてXR(複合現実)の進化によってよりリアルな没入体験が可能となっています。通信速度の進化やWebGLの発展によってもスムーズにイマーシブ体験をすることができるようになってきました。
イマーシブを向上させるWebデザイン
イマーシブを向上させるWebデザインをいくつかご紹介していきます。
どれも最近よく表現されるデザインのため、Webデザインのトレンドとも言えるのではないでしょうか。
スクロールテリング
Webサイトをスクロールする動作と連動してストーリーが展開されたり、ビジュアルやアニメーションが動的に変化するWebデザイン手法のことです。
スクローリーテリングと言われることもあります。
パララックスやフェードイン、ズームアウトなど視覚的にも感覚的にも楽しめるアニメーションがよく利用されます。
パララックスエフェクト
パララックスエフェクトとは、画面内の異なるレイヤーが、スクロールや視点の動きに応じて異なる速度で移動することです。
スクロールテリングのアニメーション例としても挙げましたが、パララックスエフェクトもイマーシブを向上させるかつ簡単に導入できるアニメーションです。
3Dデザイン
3Dオブジェクトやグラフィックを表示するWebサイトも増えてきました。
製品を3DオブジェクトでWebサイトに表示し、3Dオブジェクトを回転、ズームなど操作をすることによって、製品の見た目や情報をより直感的に理解することができます。
製品表示の他にも、ストーリーの演出やブランドイメージのオブジェクト表示など、様々に活用されています。
Y2Kデザイン
Y2Kデザインとは、「Year 2000」を意味し、2000年代初頭のビジュアルを再解釈したデザイントレンドのことです。
WebデザインでもY2Kデザインは注目されており、最新技術と2000年代の特徴の融合によってレトロフューチャーな世界が生み出されています。
ファッションや音楽関係のWebサイト、エンターテイメントのWebサイト、製品・ブランドのプロモーションサイトで取り入れられていることが多い印象です。
ミニマリズム
ミニマリズムもトレンドの一つです。ミニマリズムとは、最小限のデザイン要素で最大の効果を生むことです。
Webデザインにおいては、不要な要素を無くしてシンプルかつ機能的なデザインを採用し、分かりやすく快適な体験を提供するデザイン手法を指します。
本当に必要な情報に素早くアクセスすることができ、視覚的にもストレスが少なく操作性も高いため、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。
イマーシブを向上させるWebサイトの技術
イマーシブなWebサイトを作るためには、基礎となる技術が欠かせんません。
ここでは、よく見かけるトレンドデザインを構築している代表的なWebサイトの技術をご紹介します。
Three.js
Three.jsとは、WebGLをベースにしたJavaScriptライブラリです。Webブラウザ上で3Dコンテンツを表示・操作することができます。
WebGLを扱いやすくした高性能なライブラリで、動作も軽量です。オープンソースなため誰でも無料で使用ができ、アニメーションも含めてWebサイトに立体感を出すことができます。
よく使われる場面として、製品の3Dビューアーや3Dアニメーション、ゲームやデータの可視化などが挙げられます。
GSAP (GreenSock Animation Platform)
GSAPとは、JavaScriptベースのアニメーションライブラリです。WebサイトやWebアプリケーションにおいて滑らかで高度なアニメーションを簡単に設定することができます。
一から構築しようとすると難しいスクロールに応じたアニメーションなどが簡単に制作でき、基本的に無料で利用できます。有料プランも有り、より高性能なプラグインを利用することができます。
GSAPを利用してアニメーションを設定しているWebサイトは今、かなり多いのではないでしょうか。
Framer Motion
Framer Motionとは、Reactベースのアニメーションライブラリです。Reactに特化した設計になっており、最近注目のNext.jsでもアニメーションが作りやすいのが特徴です。
HTMLの中に組み込んでアニメーションを宣言できるため、シンプルなコードで効果的なアニメーションを実装可能です。
ボタン、メニュー、遷移のアニメーションやスクロール連動のアニメーションなど、幅広いアニメーションを簡単に実装できます。
Lenis
Lenisとは、スムーズスクロールを実装するためのJavaScriptライブラリです。
最近のWebサイトではスクロールに慣性がかけられていることが多いのですが、その慣性を簡単に実装することができます。
スムーズスクロールを設定しているとWebサイトの動きが滑らかに感じられ、アニメーションの動きもユーザーが体験しやすくなります。
イマーシブに対する個人的意見
没入感 in エクスペリエンス
最近のビジネスやマーケティングでは、「エクスペリエンス(体験)」がもっぱら重視されるようになりました。〇〇エクスペリエンスというのはよく耳にすると思います。
僕がこの〇〇エクスペリエンスに初めて触れたのは2019年頃でした。当時勤めていた会社で同行させていただいたたアメリカ研修の事前学習の中で、「カスタマーエクスペリエンス」を学びました。
小売の関連企業に勤めていたのでアメリカにある様々なお店を視察するという研修でしたが、カスタマーエクスペリエンスも肌で感じとってきました。
没入感というのはエクスペリエンス向上のためには欠かせない要素であり、どの業界においても重要なのは間違いありません。
もちろん業界によって表現方法は様々で、特に小売業界では、お店の作りや接客など五感を使ってイマーシブを感じられるためイマーシブ感はとても強いと思います。
しかし、業界は違っても根本にある考え方は共通のものが多いというのが僕の考えです。今日に至るまで、今までの経験からエクスペリエンスに関する様々な考え方を吸収してきたというわけです。
デジタルとリアルの融合
デジタルとリアルの融合でイマーシブはアップします。
先述してきた360°ビューの製品3Dモデルの表示やバーチャルショールーム・展示会の実現、AIやデータ解析による動的なデザインや情報など活用方法は様々です。
また、最新の情報をWebサイトに掲載したり、Webサイト連動型で体験のできるコンテンツを作ることも効果的です。
ネット環境さえあればいつでもどこでも体験できるWebサイト、その場所に行って体で感じる体験の2つがうまく重なれば、イマーシブが大幅にアップするのではないでしょうか。
Webサイトが空間化する時代が来るかも
AR・VR・XR技術の発達により、デジタルが身近な拡張現実となり得る日も遠くはないと思います。
特に持ち運びが誰でも簡単にできるVRデバイスが登場したら、人気は爆発的に増えるような気がします。
そうなった時、Webサイトを空間的に映し出すことができたら面白いと思いませんか?
Webサイトがよりリアルに、そこに存在するかのように感じられ、間違いなくイマーシブが大幅にアップするでしょう。
エクスペリエンス自体が全く別のものになり、新たな次元へシフトすることもじゅうぶん考えられます。